『米中対立』
佐橋亮著
1034円(税込)中公新書

経済、科学技術、そして軍事。厳しさを増す両大国の関係を振り返り、日本としての立場、両国との関係を考察する。

 読み物としてまず面白い。米中対立がどうなっていくのか、理論的な関心を持ちながら歴史に触ってきた人ならではの温度があるからだろう。

 米中対立をどのように読み解くのかは、さまざまな視点がありうる。リスクに最前線で対処せねばならないビジネスの立場からすれば、死活的な問題関心だ。政治の力は経済の論理を凌駕(りょうが)する影響を与えうる。それを理解するためには、世論と政策当事者の認識を丁寧に追いかけていくしかない。

 オバマ政権末期にようやく中国の脅威に気が付いた米国は、中国の国力の伸長や意図に恐れを抱くようになった。当然、「これまで我々が騙(だま)されてきた中国の本当の姿」に米国の識者の分析は集中することになる。しかし、トランプ時代に幕を開けた米中対立は、誰がどう見ても米国の変化によって起きている。ならば、米国はどのような理由で政策方針を転換したのかが語られなければならない。著者が言うように、米国はいまだもって世界最大の超大国であり、その政策が我々の運命を左右することに変わりはないからだ。

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