『57歳で婚活したらすごかった』
石神賢介著
836円(税込) 新潮新書

57歳で結婚を考えた著者は、アプリや結婚相談所を活用し、個性豊かな女性たちと出会う。中高年の婚活の実態を伝える。

 還暦を目の前にして(ということは評者と同世代)、結婚したいという願望を自覚した著者がマッチングアプリや結婚相談所、婚活パーティーに集中して取り組んだ記録。確かにすごいことになっている。

 マッチングアプリで知り合った41歳の女性に会って意気投合。R&B系の来日アーティストのライブに行く約束を取りつけ、高価なチケットを用意する。約束の日が近づき、連絡をしても返事がない。するといきなり「てめーからLINEくるだけでゾッとして不眠になるわ。クソ老人!」というメッセージが飛んでくる、といったドタバタ劇をコメディー風につづる。著者の本職はライターで、文章は闊達。構成もしっかりしていて読みやすい。

 マッチングやパーティーといった人工的に設計された婚活システムには極端なメリットとデメリットがあることがよく分かる。偶然の出会いと比べて知り合う相手が飛躍的に増える一方で、どうしても人間の獣性がむき出しになってしまうという難点がある。要するに女性はカネがある人にラクな生活をさせてもらいたい。男性は容姿がイイ女性と結婚したい──。

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日経ビジネス2021年9月6日号 89ページより目次

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