『小さな声、光る棚』
辻山良雄著、
1760円(税込) 幻冬舎

効率性を追求し、拡大を目指す事業モデルとは一線を画す、店主の顔が見える書店の営みや生き方についてのエッセー。

 降り立った街にある本屋をおおよそ把握しているので、できる限り、時間を作って立ち寄る。いかにも業界的な見方かもしれないが、チェーン店の本部から置くように指示されている本ばかりが並ぶ売り場は実につまらない。血が通っていない。とはいえ、売れ筋を機械的にそろえなければいけない事情もわかる。ちょっと奥まったところにその店ならではのフェアが展開されていると知れば、その気概がうれしくなる。

 東京・荻窪にある書店「Title」は顔が見える。置かれている本の顔、だけではなく、本を選んでいる店主の顔。レジは店の奥にあり、ドアを開けた時点では店主は見えないが、入ってすぐにある平台を見れば、ああ、いかにもあの人が選んだのだなとにやけてしまう。

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