『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン』
ピーター・スコット-モーガン著、藤田美菜子訳
1870円(税込) 東洋経済新報社

不治の難病を宣告されたロボット工学の博士が自らを実験台に医療やロボット、AI(人工知能)技術を駆使し、生きることに挑む。

 たった今、この本を読み終えて、僕の胸中には、もはや希望しかない。そう、この本にははてしない希望が込められている。

 あるいは、皆さんの中にもジョニー・デップが主演した映画『トランセンデンス』や『ロボコップ』、海外ドラマの『ブラック・ミラー』を観たことがある方もいるだろう。世界的なベストセラーとなった『ホモ・デウス』を読んだ人もいるかもしれない。

 ただ、この本がそれらの作品と決定的に違うのは、“リアル”だということだ。そして、未来ではなく、現在だということだ。

 本書の主人公、ピーターは難病とされるALS(運動ニューロン疾患)を患う。簡単にいえば、意識があるにもかかわらず、運動ニューロンが正確に働かなくなるために、体の動きが徐々に制限されていく病だ。結果的に動かなくなる体に意識が閉じ込められてしまう。ところが、ピーターはその難病になっても自らの“繁栄する権利”を諦めようとしなかった。なんと、動かなくなる前に、ロボットとAIと融合してしまうことを決意し、実際に行動に移したのだ。

 読者である我々は、半信半疑ながら、彼の挑戦を固唾をのんで見守ることになる。

 本当にできるのか? できたとしたら、人類はどうなるのだろう?

 おそらく、そんな問いを行間で幾度となく反すうしながら、読み進めていくだろう。そして、最後には希望に包まれるだろう。

 もし、真剣に死を恐れたり、または愛する人の死に直面したことのある人なら、共感し、希望を抱くはずだ。

 なぜなら、ピーターの言葉を借りるなら、我々の持つ物理的な肉体はあまりにも“脆弱”だからだ。

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