『冤罪と人類』
管賀江留郎著
1364円(税込) ハヤカワ文庫

検事総長賞に輝いた別名“拷問王”の刑事ほか、歴史に残る冤罪の背景をひもとき、ゆがんだ認識を引き起こす人間の正しい心に迫る。

 不思議に興味を引かれる作品だ。有名な少年犯罪の冤罪(えんざい)事件が作り出された背景を語っているのだが、本全体が事件の資料集のような体を成し、戦前から戦後へとつながる日本の統治構造や力の対立の構図と合わさって複雑に織り上げられた一枚の布のように書かれている。

 感情移入型の読み物を期待する人は裏切られるだろう。そのかわり、詳細な人物像プロファイル、人間や組織関係を突き詰めて観察することで、はるかに面白いドラマを見せてくれる本だ。

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