
細野豪志、開沼博
1870円(税込) 徳間書店
原発事故から10年。事故収束を担当した元大臣は自ら福島の調査を続け、政策の誤りに向き合う。福島の研究者との共著。
3.11から10年の節目に、細野豪志さんと開沼博さんの共著が出ました。ジャーナリストの林智裕さんとともに当事者や関係者との対話を積み重ねて作られた本です。
当時、3.11は私たちの社会を変える、といわれました。当時の言論空間にいた人々は、福島をめぐる「政治」に巻き込まれつつ、真剣な討論をし、熱を持って日本の未来について語っていたのを覚えています。しかし、10年の時を経て、あの時の熱量をそのままにこの問題に向き合い続けている人はあまり見かけません。コロナ禍で、非常事態に備えられない日本の脆弱性が再び明らかになった今、改めて、当時の政府の責任者、そして現場で事に当たっていた当事者の方々の対話に耳を傾ける意味は大きいと考えます。
本書では、これでもか、とばかりに日本の脆弱性があぶり出されます。危機の際にどこか他人事で、組織の論理にばかり目が向いてしまう習い性、リーダーシップの欠如。安心に寄り添おうとしてかえって被害を拡大してしまう誤ったリスクコミュニケーション。同時に、日本人の力強さも浮かび上がってきます。火事場におかれた人々の死に物狂いの頑張りと、そこで編み出される創意工夫。
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