『デジタル戦略の教科書』
今枝昌宏著
2500円(中央経済社)

デジタル化が進むことで、産業構造やビジネスモデルにはどんな変化が起こるのか。インパクトや課題を解説。

 全体を網羅しつつ、具体的な例示をしながら、程よい抽象度で論理を説明する──これが優れた教科書の条件だ。『デジタル戦略の教科書』はこの条件をきっちり満たしている。

 著者の前著『ビジネスモデルの教科書』が「ビジネスモデル」という概念的なテーマを扱っていたのに対して、「デジタル戦略」は現象(=デジタル化)に注目している。放っておくと論点は限りなく広がってしまうのだが、ちょうどよいところで線引きをしている。デジタル戦略を理解するときに重要な要素が過不足なく詰まっている。それぞれについての議論や説明も簡潔明瞭。それでいて論理にも目配りが利いている。さすがの構成力だ。

 DXが進まない要因を、著者は日本のITベンダーと顧客である企業の取引の関係──企業の情報システム部門がベンダーにシステムを丸投げしてしまい、その結果デジタルについての能力を喪失し、それがさらにベンダー依存を深めるという悪循環──に求めている。日本の企業は自前主義に過ぎるといわれるが、デジタルに関しては逆。丸投げに過ぎる。経営トップ自らが仕事の中で日常的にデジタルに触れ、その効率と効果についての肌感覚を持つことがデジタル化の一丁目一番地だ。

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