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『ブループリント(上・下)』
ニコラス・クリスタキス著
鬼澤忍ほか訳
各2300円(NewsPicksパブリッシング)

人間社会、動物社会を観察し、繁栄する社会の共通点を探し出す。ビル・ゲイツ氏らが高く評価した。

 まったくの盲点だった。読んでいて、少しばかり焦燥の入り交じった感覚でそう思った。ところが、その感覚が少しも嫌ではなかった。なぜなら、読めば読むほど、希望が広がるからだ。

 どんな希望かと言えば、明確なことである。我々、人類に対する希望だ。

 そう、『ブループリント』は、我々人類に対する希望の書なのかもしれない。壮大な話が出てくるが、人間の本性ともいうべき、仕組みを解説した本で、様々な社会実験のエビデンスを通して、ある共通の希望を見いだしていく。共通の希望とは、どんな地域に住み、どんな言語を話し、どんな肌の色をしていても、人間は遺伝子が描くブループリント、つまりは設計図を持っていて、進化によってそれが強化され、社会性を帯びるようにできている、ということだ。

 つまり、人間には「社会性一式」という共通項があって、本来、利他的に行動する生き物だとしている。分断ではなく、理解し合える生き物だと。インターネットの進化により、また新型コロナにより、人はリモートワークを強いられている、あるいは、率先してリモートワークに移行しようとしている。僕は、これが自然ではないと感じ、ずっと違和感を抱いてきた。分断し、孤立し、利己的になったとき、人は生きていけないのではないかと思っていた。そのときに、この本に出合い、目を開かれる思いをした。