
杉浦泰著
1800円(日経BP)
絶体絶命の危機にひんしながら、突破し存続する20社を社史研究家が徹底分析。復活の戦略を解説する。
社史研究家の著者が20社の歴史をひもとき、危機突破の事例を考察する。順風満帆に見えるときほど、根深い問題が生まれやすい。逆に、危機を耐え忍び、克服を目指す日々が企業を強くする。企業の歴史は、この逆説的な事実で形成されている。
比較的若い会社にも紆余(うよ)曲折の歴史がある。たとえばサイバーエージェント。ネットベンチャーの旗手として2000年に株式上場を果たすが、直後にITバブルが崩壊。株価は初値の30分の1の水準に低迷し、離職率は30%に達した。創業経営者の藤田晋氏は考えを大きく変え、終身雇用をはじめとする「古風」な経営へと転換する。私見では平成生まれの企業の中で、同社は経営人材の育成と活用に最も優れた会社の一つだが、その基盤がこのときの危機突破にあったことがよく分かる。
どんな企業もいずれ危機に直面する。危機を乗り越えたからこそ今がある。だとすれば、「危機」に注目することがその企業の「強さ」を知るための有効な手段となる。社史というと地味でつまらないイメージがあるが、長期視点の経営にとってこれほど優れた教材は他にない。
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