現実逃避のための読書もいいだろう。けれども、まさに、今の事態に読むべき本があると思う。それが、今回紹介する本だ。

『世界「倒産」図鑑』
荒木博行著
1800円(日経BP)

リーマン・ブラザーズ、トイザラス、タカタなど日米欧25社の倒産事例を戦略やマネジメントの面から分析していく。

 まずは『世界「倒産」図鑑』である。我々経営者にとって、タイトルを見るだけでも苦しい。いつ自分の会社がそうならないとも限らないからだ。だが、ここに書かれた失敗から得られる教訓は、何ものにも代えられない財産になる可能性がある。なぜなら、大抵の本は成功譚、英雄譚が中心であって、もっとも役立つはずの「失敗」が巧妙に隠されるか、あるいはヒーローズ・ジャーニーの伏線としてしか描かれず、多くの場合、オープンにされないからだ。

 この本に書かれている現実は、あまりにリアルである。そして、痛い。一度は成功している企業も、どんな大企業でさえも、一つ間違えば奈落の底にあっという間に落ちていくのが分かる。読んでいて、冷や汗をかくようだった。怖いのは、まさに今の状況のように、企業努力ではいかんともし難い事態が起きた場合だ。恐慌、戦争、災害、病気の蔓延など。

 ただ、共通して見えるのは、企業が大きくなればなるほど、そうした予測不可能性の荒波の影響を受けやすくなるということだ。または、実態からかけ離れて、金融工学などを駆使して、企業を幻影のように大きく見せた場合も、あっけなく倒産してしまうように思えた。重要なのは、そのビジネスが顧客への価値の提供という本質に基づいているか。あまり背伸びしすぎてはいないか。そして、誰かの偏った利益にその会社の行き先が左右されていないか。ここさえしっかりとしていれば、どんな状況に陥ろうとも、会社はそうそう潰れるものではないと、逆に光明が見えた。