全1532文字

 ビジネス書には「いま・すぐ・ここで役立つアクション」を箇条書き的なリストで提示するものが多い。読んでいてまったく面白くない。それどころか、いっこうに役に立たない。なぜかというと、本を貫く骨太のメッセージ──木にたとえれば「幹」──がないからだ。強くて太い幹があるからこそ、枝葉が茂る。具体的なアクションは幹から派生する枝葉にすぎない。本当に役に立つのは幹のほうだ。

『100万人に1人の存在になる方法
藤原和博著
1500円(ダイヤモンド社)

リクルートから民間校長への転身で知られる著者が、二極化が進むこれからの社会で評価される人物像を解説。

 『100万人に1人の存在になる方法』は骨太の幹に魅力がある。「100万人に1人」というと大仰だが、「100人に1人」を3回かけ合わせればいいという考え方だ。すなわち、ホップ×ステップ×ジャンプの三段跳びとしてキャリアを考える。「教育改革実践家」として知られる著者はこれを地でいっている。リクルートの営業とプレゼンで100人に1人、リクルート流のマネジメントで100人に1人、義務教育初の民間校長で100人に1人。掛け算の妙で100万人に1人の存在になっている。

 20代に仕事の第一歩を踏み出す。そこで1つのことのマスターになってから30代に異なる経験へと乗り出して左右の軸足を固める。こうして食い扶持(ぶち)をまずは確保する。肝心なのは3歩目のジャンプだ。ここで大きく踏み出すことで希少性が高まる。どこへ踏み出すか。大いに試行錯誤をしなくてはならない。