全1530文字
『この1冊でわかる 世界経済の新常識2020』
熊谷亮丸監修、大和総研編著
1600円(日経BP)

米中摩擦、EU新体制の行方、中国・習政権が抱えるリスクと課題とは。世界と日本の動向を知るための最新情報。

 2020年が幕を開けた。新しい年は、どのような年柄になるのだろうか。僕は、年初にはいつも、世界がどう動くのかを自分でシミュレーションしてみることにしている。その方が何かが起こった時に、慌てないで済むからだ。その際には、イアン・ブレマー率いるユーラシア・グループの「世界の10大リスク」などを参照しているが、本書も大いに参考になりそうだ。本書は、米中貿易摩擦、米国経済と大統領選、EU経済、中国経済、新興国経済、AI・ビッグデータ、国内に移って個人消費と消費増税、最低賃金引き上げ、地方創生という9つのテーマを取り上げ、テーマごとに気鋭のエコノミストが分担執筆しているが、本書を読めば手っ取り早く、今日の世界の見取り図が手に入るというわけだ。

 では、本書に沿っていくつかの論点を見てみよう。まず、誰もが注目するのは、トランプ大統領が再選されるかどうかという点だろう。戦後のアメリカの歴史の中で再選できなかったのは、カーター、ブッシュ(父)、フォードの3氏であり、それは米国景気が後退したことが主因の一つになっている。その意味で、トランプ大統領は景気対策には全力で取り組むだろう。ただし、就任以来の支持率は平均が40%で不支持率が上回っていることが多い。執筆時点の世論調査では、バイデン氏、ウォーレン氏のどちらもがトランプ大統領をわずかに上回っている、というのが本書の見立てである。いずれにせよ、激戦となるのは間違いないだろう。