全1503文字

 『CHANGE僕たちは変われる』の著者太田雄貴氏は、オリンピックでメダルを獲得して、世間を熱狂させた元フェンシング選手。現在は、日本フェンシング協会の会長である。

今週の1冊
CHANGE僕たちは変われる
太田雄貴著
1200円(文芸春秋)

会長を務める日本フェンシング協会をベンチャー企業と位置づけ、組織として発展させたアイデアと奮闘の記録。

 本書では、この若き会長が協会をどのように変革していったのかが描かれているのだが、そこには一般のビジネスにも役立つであろうアイデアがあふれている。たとえば、外部人材に兼業・副業という形でかかわってもらい、積極的に協会の改革・発展に寄与してもらう手法などは、ベンチャー企業にとっても参考になる試みだろう。

 その一方で、スポーツの協会というのは、今までの伝統がある、ある意味では古い組織でもある。本書が興味深い内容になっているのは、そのような伝統ある組織をいかに改革していったのかの良いケーススタディーになっているからだ。

 もちろん、その原動力になっていたのは、メダリストという圧倒的な実績であり、本人のカリスマ性だったことは事実だろう。しかし、それだけでは改革は難しかったはずだ。いかに、それを実現させていったのかのアイデアがいろいろと書かれている。

 評者が感じた、一つのポイントは、オープンにすることの重要性である。著者は、狭い意味でのフェンシング業界の人以外との様々な交流があったようで、それが単なる人脈づくりだけでなく、既存概念や伝統的なルールに縛られない、新しい発想やアイデアを生んでいく原動力になっていったようだ。この点は、組織改革やイノベーションの創出で悩んでいる人たちにとっても、参考になる面があるに違いない。