16歳のストックホルムの高校生が、世界を突き動かしている。グレタ・トゥーンベリだ。2018年8月20日、彼女はたった1人でスウェーデンの国会議事堂の前で「学校ストライキ」を始めた。気候危機に注目を集めるため、毎週金曜日、国会議事堂の外で座り込みをすることに決めたのだ。

レーナ・エルンマン、グレタ・トゥーンベリ他著 羽根由訳
1600円(海と月社)
国連での演説でも注目を浴びた環境活動家の生い立ちから、少女の活動が家族、社会に与えた影響を記した一冊。
彼女は、11歳のとき、授業で環境問題の映画を観てショックを受けて摂食障がいになった。南太平洋、チリの海岸沖には浮遊プラスチックごみが集まり、その面積がメキシコよりも大きい島をつくっている。その映画のあいだじゅう、グレタは泣き続けた。そして食事がのどを通らなくなった。ニョッキ5個に2時間10分と母親は記している。そして、アスペルガー症候群と診断された。本書は、母親が中心になって書き上げたグレタと妹ベアタと両親の家族4人の物語である。
グレタは勉強を始める。気候問題の第一人者、スウェーデンのウプサラ大学のケヴィン・アンダーソンには両親と話を聴きにいった。カーボンオフセット(どうしても削減できない二酸化炭素を植林などで埋め合わせようとする取り組み)は「貧しい人たちにお金を払って、私たちのためにダイエットしてください」と言っているようなものだとケヴィンは指摘する。
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