ここへきて、静かな注目を集めているのが金子文子です。関東大震災後、同志で恋人だった朝鮮人・朴烈(パクヨル)とともに検束され、大逆罪で死刑判決を受けたアナキスト。恩赦で無期懲役になりますが、転向を拒否して獄中で縊死。23歳でした。これだけ聞いても壮絶な人生を想像しますが、『女たちのテロル』はそれを現代にもまっすぐ届く言葉で、パンクに、クールに蘇らせます。読んで痛快です。

今週の一冊
女たちのテロル
ブレイディみかこ著
1800円(岩波書店)

抜群の筆力と、スマートでお茶目な著者の人柄が相まって、悲惨で陰鬱なはずの物語が解放感のある弾けた一冊に。

 大逆事件といえば、幸徳秋水が有名で、その陰に隠れて金子文子はあまり知られていませんでした。育児放棄した親のもとで無籍者として育ち、学齢期にも学校へは行けず、ドン底の境遇で得た知恵と体験をもとに自らの思想を鍛え上げます。「私は私自身を生きる」をモットーに、国家と対決し、短くも凛々しい生き方を貫きます。

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