全1539文字
今週の一冊
三体
劉慈欣著、立原透耶監修、大森望他訳
1900円(早川書房)

謎の学術団体に潜入した研究者を主人公とする中国の大ヒットミステリー小説。海外でも高い評価を得ている。

 読む前に、何かしらの恐怖を覚えた。予感と言ってもいいかもしれない。我々、日本の書き手、コンテンツの創り手がいつかは直面するとわかっていても、どこかでそんな日が来るわけがないと思っていたことだった。中国にいつかGDP(国内総生産)が抜かれることがわかっていても、どこかで信じられなかった場合と似ているかもしれない。

 だが、本当にその日がやってきた。僕らが恐れていたのは、圧倒的な力を持った中国発のコンテンツが生まれることだった。『三体』は、圧倒的な力でもって、我々をねじ伏せてきた。いよいよ、眠れる獅子はコンテンツの世界でも力を誇示し始めたかと思い知らされるに十分な内容である。