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今週の一冊
繁栄のパラドクス
クレイトン・クリステンセン著、依田光江訳
2000円(ハーパーコリンズ・ジャパン)

一見、売れる可能性がない商品が市場を作り出す。未来の消費者を作る「無」消費に焦点を当てイノベーションを語る。

 イノベーションのジレンマで有名なクリステンセンによる新著、『繁栄のパラドクス』。国を成長させ、繁栄させるには、消費者の潜在的ニーズ(ペイン)に目を向け、そこにビジネスチャンスを見いだす、市場創造型のイノベーションが重要だと説く。

 単なる理論の説明ではなく、多くの実例を紹介しながら、貧困に苦しむ国を繁栄させるには何が必要かを真摯に問う書きぶりには説得力がある。

 通常、低開発国の課題は、法制度やインフラの未整備だと指摘される場合が多く、実際、多くの資金や援助がそれらの整備に充てられてきた。著者は、それを全否定はしないものの、民間による市場創造型イノベーションを伴わない限り、それらだけでは難しいと主張している。