妹背山婦女庭訓は、浄瑠璃作者・近松半二による文楽や歌舞伎での大人気演目。そして、『』は、半二の生涯と妹背山婦女庭訓の成立を縦軸に、それをとりまく人々を横軸に描かれた物語。生き生きとした描写に、江戸時代の大坂、劇場街であった道頓堀かいわいのにぎわいや、そこでうごめく人たちの姿が目に浮かんでくるようだ。

今週の一冊
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
大島真寿美著 1850円(文藝春秋)

浄瑠璃の代表作の一つ『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』を生んだ近松半二の生涯を描く。

 「この世もあの世も渾然となった渦のなかで、この人の世の凄まじさを詞章にしていく」

 道頓堀の渦の流れに身を任せ、虚実皮膜を描き続けた半二の人生、それこそが熱く壮大なドラマである。何百年も演じ続けられる戯曲を書けるような人物がただ者であるはずがない。

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