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 暗号通貨は「反国家」ではない。「非国家」だ。そこには世界を変える可能性が埋め込まれている。著者のこの指摘はビットコインをはじめとする暗号通貨の本質を突いている。著者は投機バブルが崩壊した暗号通貨は「終わった」とする雰囲気に異議を唱え、暗号通貨が創出する未来を社会の様々な活動や機能を引き合いに出しながら横断的に論じていくことで、読者にその可能性を分かりやすく提示する。

今週の一冊
『暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない』
坂井豊貴著 800円(SBクリエイティブ)

暗号通貨(=仮想通貨)の背景にある思想とは何か。進化する技術と変わらない現実を解説する。

 資本主義は世界を変えてきた。身分に縛られることなく、自由な選択によって生きる余地が生まれ、土地の奪い合いを超え経済的な利益を国家が目指すようになった。グローバル化が進み、人びとの利害が国境を越えて噛み合う。その基礎を支えたのが契約自由の原則と私有財産の保護だ。これまで、これらの原則を保護するためには具体的にそれを担保、保証してくれる国や銀行などの主体や登記制度が必要だった。当たり前だ、と思うかもしれないが、お隣の中国では政府がこの2つの原則をいとも簡単に揺るがしている。日本でも、ハイパーインフレが起きれば私たちの貯金は無価値になってしまう。国家はそんな強大な力を持っている。