(前回『「旬」を過ぎた塚田農場 教えない教育の反動』から読む)
「チェーンらしくない店舗」で成長した「塚田農場」は、店舗拡大期に質が追いつかずに行き詰まった。コロナ禍を機にスマホで注文・決済できるモバイルオーダーを導入し、省人化と接客向上の両立を追う。「旬」を過ぎた塚田農場は復活できるのか。異色の調査会社による徹底分析が鍵を握る。

注文取りやレジ打ち業務をスマホに委ねるだけでは、店舗側の省人化は進んでも来店客にとっての価値が向上しない恐れがある。「塚田農場」を運営するエー・ピーホールディングス(HD)にはそんな問題意識があった。モバイルオーダーの導入で来店客の動きがどう変化するのか。その検証に取り組んだのが、調査会社のトリノ・ガーデン(東京・港)だ。
同社は依頼を受けた企業の店舗にカメラを設置し、その映像から来店客や店員の動きを数値化する。例えば、入店してから席に着くまでの時間、注文後に料理が届くまでの時間、スタッフを呼ぶしぐさや回数……。スタッフの視線や体の向き、つらい姿勢の時間などもチェックする。こうして可視化したデータを基に、人間工学や認知心理学などの理論を用いて店舗運営の改善案を考える。そして店舗で実践し、また検証する。
「サービス業など暗黙知が多い業界では『きつい』『うまく回っている』など感覚的な評価が飛び交い、オペレーションを数値化できていない」(トリノ・ガーデンの中谷一郎社長)。特に外食産業はファストフードやファミレスなど業態ごとに運営方法が異なり、科学的な分析の難度が高い。ただ、塚田農場は幸いにもコロナ禍前にデータを集めていた。モバイルオーダー導入後のデータと比較することで、来店客の変化を確認できた。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1874文字 / 全文2607文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「日経ビジネス新刊から」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?