京セラ創業者の稲盛和夫氏が自身の言葉で「経営12カ条」を解説する本連載。第7条では、「岩をもうがつ強い意志」が経営には欠かせないと説く。厳しい状況でも強い意志を持ち続けるためには、可能性を信じることが大事だ。

(写真=PIXTA)
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 夢を描き、「こうありたい」という強い願望を持つだけでよいなら、素晴らしい会社がたくさんできるはずです。しかし、そのような会社が少ないのはなぜでしょうか。どの会社の経営幹部も「こうありたい」という願望を持ち、「会社を立派に運営したい」と考えているはずです。

 問題は、願望を持つことができても、実行できないところにあります。たとえば、「新製品を開発したい」という願望があったとします。いち早く新製品を開発しないと市場を失い、事業の永続性が危ぶまれる恐れがあります。しかし、「新製品を開発したい」と頭だけで考えてはいないでしょうか。それは、心の底から出た強い願望であり、魂の叫びと呼べるものでしょうか。

 頭だけで考えているなら、「できるものならやりたい」という程度です。ですから、新製品開発に当たってふさわしい技術者が社内にいないとか、莫大な設備投資を要するなどといった難題に直面したとき、そうしたこともすべて頭で受け取ってしまいます。「こうありたいと思っていたが、さまざまな問題があってそうはできないということが理解できた」と合理性や常識で考えてしまうのです。

 頭で受け取って理解すればするほど、「こうありたいと思っていた願望は実現不可能である」という結論へと自らを導いていってしまいます。私の造語ですが、このような人を私は「状況対応型の人」と呼んでいます。

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