食卓で料理に塩をふる習慣がある人が75歳未満で死亡するリスクは1.28倍との研究結果が報告された。塩分摂取が血圧に関係していることは分かっていたが、今回、早期死亡との関係が明らかになった。同時に果物や野菜の摂取が多いとこの関係が減ることも分かっており、積極的な摂取を心がけたい。

高血圧の予防と治療において、減塩が非常に重要であることは知られています。しかし、減塩料理が出てくると、なんだか味気なくて、食卓に置かれた塩をふりかけてしまう人もいるでしょう。このほど英国で行われた研究*で、食卓で料理に塩をかける習慣がある人は、そうでない人に比べ、75歳未満で死亡するリスクが1.28倍になることが分かりました。
塩分摂取量を推定
塩分の摂取と血圧の関係は明確になっていますが、死亡リスクに及ぼす影響を調べた研究では、一貫した結果は示されていません。その理由の一つは、長期にわたる日常的な塩分摂取量を、簡単かつ正確に測定する方法がないことにあります。多く用いられている方法として、尿に含まれている塩分を測定する方法、食事の内容を聞き取って摂取量を推定する方法がありますが、死亡リスクとの関係を検討するために十分な精度を持つ情報は得られません。
そこで米Tulane大学などの研究者たちは今回、全く視点を変えて、「食卓で料理に塩をかける習慣が日常的な塩分摂取量を反映する」と考えました。西欧の食事においては、食卓で加える食塩が、1日の塩分摂取量の6~20%を占めるという報告もあります。塩をかける頻度が高い人は、塩味が濃い食事を好んでおり、日常的に塩分を多く摂取していると推定されます。したがって、食卓で塩をかける頻度を調べることにより、習慣的な塩分摂取と死亡の関係を知る機会が得られると著者らは考えたわけです。
英国の大規模観察研究「UK Biobank」の参加者で、2006~10年に初回の評価を受けた際に、料理に塩をかける頻度に関する質問に回答していた50万1379人を分析対象にしました。
料理に含まれている塩分とは無関係に、出された料理に塩をかける習慣について尋ねる質問に対して、用意されていた回答は、(1)塩をかけたことがない/めったにかけない(2)ときどきかける(3)たいていかける(4)常にかける(5)答えたくない、の5つでした。加えて、過去5年間に食習慣を大きく変化させたかどうかも尋ねました。選択肢は、(1)いいえ(2)はい、理由は病気をしたから(3)はい、病気以外の理由から(4)答えたくない、となっていました。
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