インフルエンザ流行期に急性心筋梗塞(以下、心筋梗塞)の発症率が上がることが研究で示された。また、高齢者がインフルエンザ予防接種を受けていると心筋梗塞のリスクが下がる可能性がある。スペインで行われた研究による。心筋梗塞リスクの高い人に接種を促すことは効果がありそうだ。

以前から、インフルエンザにかかると心筋梗塞を発症するリスクが高まるという報告はありました。ただ、これまでの研究は、種類の異なる心筋梗塞をひとまとめにして分析していました。
心筋梗塞には、主にタイプ1とタイプ2があります。タイプ1は、いわゆる「アテローム性動脈硬化」*1と呼ばれる状態から起きてくるもので、血管の中のプラーク(粥腫=じゅくしゅ)が破綻して血管の中に血栓が形成され、心臓に酸素や栄養を送る血管である冠動脈が閉塞します。一方、タイプ2は、心臓の筋肉への酸素の供給が減る、あるいは酸素の需要が増えることによって生じたミスマッチにより、血液不足(虚血)が生じるものです。
インフルエンザとの関係においては、インフルエンザウイルスの感染によりプラークが破れやすくなって、タイプ1の心筋梗塞が生じるのではないか、と考えられていますが、一方で、あらゆる呼吸器感染症が、頻脈、低酸素症、全身性の炎症反応を引き起こす可能性があり、それがプラーク破綻なしに心筋壊死を引き起こす、という仮説も提示されていました。
また、冬にインフルエンザが流行する地域では、インフルエンザのみならず、低温自体も心筋梗塞の発症率を上昇させる可能性があります。
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