青魚などに多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などオメガ3脂肪酸。健康に有用な栄養素として有名だが、継続摂取しすぎると心房細動リスクを増やす可能性が示唆された。厚生労働省の指標を活用するなどして、利益とリスクのバランスを理解する必要がありそうだ。

(写真=PIXTA)
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 青魚などに多く含まれる、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸を食事以外から1年以上にわたって摂取すると、不整脈の一種である心房細動のリスクが用量依存的に上昇することが、スイスの研究者らが行った検討*1で示唆されました。

オメガ3が心房細動増やす?

 オメガ3脂肪酸を積極的に摂取すると、動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)のリスクが下がる可能性があることが知られており、DHAやEPAを含むサプリメントも数多く販売されています。一方で、オメガ3脂肪酸の摂取と心房細動のリスクを検討した研究の中には、リスクの上昇を示したものと、リスク上昇はなかったとしているものの両方がありました。

 今回、スイスのジュネーブ大学などの研究者たちは、同様の研究が異なる結果を得ている理由として、オメガ3脂肪酸の投与量が関係しているのではないかと考えました。そこで、より新しい無作為化試験のデータを集めて、オメガ3脂肪酸の投与量に基づいて参加者を層別化し、心房細動との関係を検討することにしました。

 文献データベースから、2012年1月1日から20年12月31日までの期間に報告されていた二重盲検法*2の無作為化試験のうち、500人以上を対象に、一方を魚介類由来のオメガ3脂肪酸(DHA、EPA、またはエイコサペンタエン酸エチルエステル介入群)に、もう一方をオリーブオイルやコーンオイルなどの植物性油脂(対照群)に割り付けて1年以上追跡していた研究を抽出しました。

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