過剰な体脂肪は脳卒中などの原因となるが、果たして脂肪組織そのものは認知機能に影響するのか。今回、体脂肪や内臓脂肪が多い人ほど認知機能が低いことを示す研究結果が報告された。肥満予防や体脂肪を減らす努力が、認知機能の維持に結びつく可能性がある。

写真=PIXTA
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 体脂肪や内臓脂肪が多い人ほど認知機能が低いことを示す研究結果*が、カナダ・マクマスター大学などの研究者たちによって報告されました。

9189人を対象に研究

 過剰な体脂肪(皮下脂肪・内臓脂肪)は糖尿病や高血圧、脂質異常症(血中の中性脂肪やコレステロールが異常値になった状態)などのリスクを高め、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを上昇させることが知られています。脳卒中などの脳血管障害は認知機能の低下をもたらしますが、脂肪組織そのものが認知機能に直接影響を及ぼすのかどうかは分かっていませんでした。

 そこで研究者たちは、脂肪と認知機能の関係を明らかにするために、カナダとポーランドの成人を登録して行われた2件の観察研究の参加者のデータを分析することにしました。対象としたのは、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)や心不全の経験がない、30歳から75歳までの9189人で、平均年齢は57.8歳(標準偏差8.8歳)、56.4%が女性でした。

体脂肪率・内臓脂肪体積と、心血管疾患リスク、脳血管障害、認知機能の関係
体脂肪率・内臓脂肪体積と、心血管疾患リスク、脳血管障害、認知機能の関係
年齢、性別、人種などを考慮した分析の結果 *1=1が最低四分位群、4が最高四分位群。最初に男女別に4群に層別化し、同じ四分位群に属する男女を合わせて各群とした *2=ボーダーラインの優位性 出所:Anand SS, et al. JAMA Netw Open. 2022;5(2):e2146324.
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 このうち9166人が、生体電気インピーダンス法により体脂肪率の評価を受けており、体脂肪率の平均は、女性が35.6%、男性が25.1%でした。また、6773人が磁気共鳴画像装置(MRI)検査を受けており、MRI画像を基に計算された内臓脂肪組織(VAT)の体積の平均は、女性が61.4mL、男性は83.6mLでした。男女ともに、体脂肪率と内臓脂肪体積の相関は高いことが分かりました。

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