コロナ禍で働き方が多様になる一方で、社員が孤立化することによる弊害も目立ってきた。1人で多くの仕事を抱え込み、メンタル不調に陥るケースもある。精神科医・産業医の奥田弘美氏に、部下とのコミュニケーションに悩む上司の相談に乗ってもらった。

今回の「お悩み」
部下を持ったらストレスから眠れなくなってきた

 40代女性です。このほど、あるプロジェクトのグループリーダーに任命され、数人の部下を持つようになりました。

 当初は張り切っていたのですが、チームは初めて一緒に仕事をするメンバーがほとんどで、リモートワークが中心のせいか意思疎通がなかなかうまくいかず、プロジェクトの進捗が思わしくありません。

 遠慮しがちな自分の性格もあるのですが、部下に仕事をうまく振ることができず、つい自分でやってしまうため、夜10時を超えて残業する日が増えました。また仕事を終えてからも、寝るまでずっと頭の中で仕事のことを考えており、最近は寝つきも悪くなりがちです。

 気候のせいもあったのか、仕事の夢を見ては夜に数回目が覚めてしまうことが増え、そんな日は朝目が覚めても体の疲れが抜けず、頭もスッキリしません。

 先日も部下とのウェブミーティングで、顔出しもせず何も発言しようとしない部下に対してイライラして、ついキツイ言い方をしてしまい、あとから自己嫌悪に襲われて涙が出てきました。

 それを見ていた同居のパートナーからも「最近、気分のアップダウンが激しいんじゃない? 眠れない日もあるようだし、一度メンタルクリニックに行ってみたら?」と言われてしまいました。

 確かに以前ほど仕事が楽しくなくなってきて、つらさを感じることが増えてはいますが、やる気が全くないというわけではありません。メンタルクリニックに行ったほうがよいのでしょうか?

※取材などを基に得た情報から創作した「お悩み」です。

 仕事上の責任や仕事量が増えて、次第に仕事のことが頭から離れなくなり、睡眠に影響が出たり、気分の変動が激しくなったり……。これは典型的な「過緊張」の状態だと思われます。

 過緊張とは、正確に言うと「自律神経のうち、交感神経*1の過度の緊張が続いている状態」です。ストレスによって交感神経が過度に興奮してしまい、リラックスをつかさどる副交感神経の働きが弱まるために、精神面や身体面に様々な症状が出現してきます。

*1=体の機能を調整する自律神経のうち、血圧を上げて体を活動的にするのが「交感神経」、体をリラックスさせるのが「副交感神経」

 ストレスが解消されず、適切な対処がなされないと、だいたい次のような段階で悪化していき、仕事や生活に影響が出てきます。そして最終的には「自律神経失調症」や「抑うつ状態」「適応障害」などと診断されるケースも少なくありません。

ストレスから過緊張が悪化

①仕事のことを頻繁に考えてしまい、プライベートの時間を楽しんだりリラックスしたりできなくなってくる。

②夜寝るときにも仕事が頭から離れず、寝つきが悪くなったり、寝ついても仕事の夢を見て途中で目覚めたり、早朝に目覚めて眠れなくなったりするなど、睡眠障害の症状が出てくる。

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