この記事は日経ビジネス電子版に『安倍元首相「エネルギー政策を現実的アプローチに変えるべきだ」』(4月26日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月16日号に掲載するものです。

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)

 ロシアによるウクライナ侵攻により、第2次世界大戦後に築き上げてきた国際秩序の根幹が揺らいでいます。中国は国際秩序への挑戦を強めるロシアを擁護する側に立っています。米国の指導力を弱め、多極化を進めていくうえで、ロシアとの関係を重視しているためです。その中国は軍備を拡張し続けています。この状況を我々はもっと深刻に受け止めなければなりません。

 私は「ロシアによるウクライナ侵攻が台湾情勢とリンクしている」と発言してきました。ロシアによる一方的な現状変更を許せば、それを見た中国の習近平国家主席は台湾への軍事的威圧を強めるでしょう。台湾有事となれば、沖縄県の尖閣諸島も危機にさらされます。

 こうした事態を防ぐため、防衛費の増加など我が国の自助努力をまず進め、そのうえで日米同盟を一段と強化し、日米豪印の枠組みである「Quad(クアッド)」など普遍的な価値観を共有する国との連携を深め、アジア太平洋地域にコミットしていく国を増やすことが重要です。

 米国との関係を深め、同志国との連携を強化していくために日本の防衛努力は重要です。米国などは日本の取り組みを注目しているのです。

 防衛費について、北大西洋条約機構(NATO)は加盟国に国内総生産(GDP)比2%以上の水準を求めています。ドイツのショルツ首相は2月末、国防費をGDP比で2%以上に引き上げる方針を表明しました。国防体制強化に向けた国家としての意志を示したことになります。

 日本の防衛費はGDP比で1%ほどを目安にしてきました。2%以上という目標を明示したうえで、スピード感を持って対応する意思を示すため、2023年度予算案では6兆円以上を確保すべきだと思います。

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