この記事は日経ビジネス電子版に『安倍晋三元首相「ウクライナ危機で同盟関係の大切さが浮き彫りに」』(3月23日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4 月4日号に掲載するものです。

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)

 前回のコラム執筆から数日後、ロシアはウクライナへの全面侵攻を開始しました。ロシアが首都のキエフを含むウクライナ全土への侵攻に踏み切るとは、ほとんどの方が予測していなかったのではないでしょうか。私自身、親ロシア派武装勢力が一部を実効支配するウクライナ東部のルガンスク州、ドネツク州への侵攻はあり得るとは思っていましたが……。

 私は首相在任時、プーチン大統領と通算27回会談を行いました。会談を重ねる中で感じたのは、彼は力の信奉者ではあるが、同時にバランス・オブ・パワー(力の均衡)を重視する現実主義者という人物像でした。

 何かの理想を掲げて突進するような性格ではなく、力の限界を見極めつつ力を行使するタイプだとみていました。今回の彼の行動はこうした見方や想定を超えるものでした。

 私は欧米主導の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大への強い反発が要因だとみています。ただ侵攻が長期化する中、彼がどのように事態の収拾を図るのか、プランが見えてこないというのが正直なところです。

 2014年のロシアによるクリミア半島併合以降、ウクライナ国民の間では反ロシアの感情が強く、傀儡(かいらい)政権を樹立したとしても安定した統治は難しいはずです。世界はそこに大いに疑問を感じています。

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