中古車を磨き上げて転売

(写真=右:共同通信)
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 56年、高校に入学するとさらに商売にのめり込みました。きっかけは通学路の農家にいつも止まっていた真っ赤なルノー(の車)を手に入れたことです。持ち主は東京に移住したので、誰も使っている形跡がありません。私は何度も農家に通って頼み込み、そのルノーを3万円で譲ってもらいました。そして、実家の整備工場で塗装してピカピカに磨き上げたところ、27万円で転売できたのです。会社員の初任給が7000円の時代です。思わぬ大金が手に入りました。でも、それだけでは終わりません。

 私は27万円を元手にボートを購入しました。猪苗代湖では観光客向けの遊覧サービスがはやっていたのですが、既存の事業者は「8人集まれば1回4000円」という料金設定でした。そこで私は、売り上げを折半する契約でボートの運航を業者に委託し、「1人500円。8人までOK」と掲げて新規参入しました。

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