明治3年の正月、90歳に達した祖母藤子に藩知事から祝いの召し物が届いたのが先週4日のことだった。思いがけない計らいに感激した良介は、その晩急遽(きゅうきょ)、親戚や藩庁の同僚後輩を招いて盛大に祝宴を催した。藤子は主役を務め終えてほっとしたのか、翌々日には昏睡状態に至り、間もなくの大往生となった。

 「今年の梅はずいぶん早かとですね」

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り4005文字 / 全文5469文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「小説 国産紙幣誕生」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。