向こうには向こうの事情があろうが、まずはこちらの主張をぶつけて反応を見て、折り合わないようなら少しずつ妥協案を切り出していき、落としどころを見計らうのが交渉の常道ではないか。幕末から維新にかけて藩主の密命を受けて散々やらされたが、こんなやわな交渉では相手の言いなりになるに決まっている。

 「しかし、ドンドルフ社から紙幣は買わないと言い切ってしまうのはいかがでしょうか。他の国が機械を欲しがっているというのは駆け引きのようにも思えますが、もし本当だとすると設備はおろか紙幣も輸入できなくなる可能性がありますが……」

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この記事はシリーズ「小説 国産紙幣誕生」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。