こうして、法による支配、健全なコーポレートガバナンス(企業統治)、腐敗防止、民主的な政府、言論・報道の自由、適切な金融規制が、自由市場による良質な経済発展に不可欠であることが次第に明らかになった。そうした中で、「包摂的」な社会と「排除的」な社会とが区別されるようになった。

「排除」と「包摂」のはざまで

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 具体的には、政治的・経済的権力を少数のエリートに集中させる「社会的排除」と、健全な自由市場、強力な市民社会、民主的に選出された透明性と責任感が高い政府という3つの基盤の上に成り立つ健全な「社会的包摂」とが区別されたのだ。これらの3つは、自由市場と公共財・公共サービスの提供の必要性、市場が自由・公正であり続けることを保証する必要性との間でバランスを取っている。

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