「引き上げ」を主張してはいない
今回のノーベル経済学賞発表の際にカード教授の貢献と強調して言及された論文は、(1)最低賃金に関する一連の研究、(2)移民に関する研究、(3)教育の質と教育の収益率に関する研究、であった。
このうち、最低賃金の研究が研究以外の場面で受け止められるとき、前提条件などがもう少し明確に伝わったほうがよいのではないかと筆者は考えている。カード教授とプリンストン大学の故アラン・クルーガー教授による最低賃金の研究から、「最低賃金を上げても雇用は減らない」という結果の部分だけを取り出すことで、「それなら最低賃金を上げても問題はない」という解釈になりうるからだ。
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