この記事は日経ビジネス電子版に『「ポジティブメンタルヘルス」と生産性の関係』(10月6日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』10月25日号に掲載するものです。

職場における「ワークエンゲイジメント」の重要性が、広く認識されつつある。ワークエンゲイジメントが高くなれば、生産性は本当に高まるのだろうか。

黒田 祥子[Sachiko Kuroda]
早稲田大学 教育・総合科学学術院教授
慶応義塾大学経済学部卒、同大学博士(商学)。日本銀行、一橋大学経済研究所助教授、東京大学社会科学研究所准教授を経て2014年から現職。主著に『労働時間の経済分析 超高齢社会の働き方を展望する』(共著、日本経済新聞出版。2014年:第57回日経・経済図書文化賞受賞)。経済産業研究所ファカルティフェロー、労働政策審議会労働条件分科会委員、社会保障審議会統計分科会委員などを兼任。

 昨今、職場における「ワークエンゲイジメント」の重要性が広く認識されるようになってきた。

 ワークエンゲイジメントとは、「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)の3つがそろった状態であり、バーンアウト(燃え尽き)の対概念として位置づけられている。

 バーンアウトした従業員は疲弊して仕事への熱意や活力が低下している。それに対し、ワークエンゲイジメントの高い従業員は、心身の健康が良好で、いきいきと働いている状態にある。

 日本においてワークエンゲイジメントが注目されている背景には、高齢化と人口減少が加速する中で、一人ひとりが心身の健康を維持しながら高い生産性を発揮することへの期待がありそうだ。

 しかし、ポジティブなメンタルヘルス、すなわちワークエンゲイジメントが高くなれば生産性は本当に高まるのだろうか。

 実は労働者のワークエンゲイジメントが、職場あるいは企業レベルの生産性に及ぼす影響を分析したものはあまり多くなく、特に財務データなどの客観指標を用いたものは極めて少ない。

続きを読む 2/4 生産性を高めるのか?

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