この記事は日経ビジネス電子版に『在宅勤務の生産性は高い?低い? 新型コロナ下での意外な実態』(9月16日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』10月4日号に掲載するものです。

新型コロナウイルスの感染拡大という外生的ショックで、在宅勤務やリモートワークが急増した。終息後の望ましい働き方を考える上でも、エビデンスに基づく対応が必要だ。

森川 正之[Masayuki Morikawa]
経済産業研究所所長・一橋大学経済研究所教授
東京大学教養学部卒業。経済学博士(京都大学)。経済産業省経済産業政策局産業構造課長、経済産業研究所副所長などを経て2020年から現職。著書に『サービス立国論』(日本経済新聞出版)、『生産性 誤解と真実』(日本経済新聞出版)など。

 新型コロナウイルスの感染拡大という外生的ショックで、在宅勤務やリモートワークが急増した。ホワイトカラー労働者の間で、リモート会議を活用した自宅での仕事が広がったのだ。在宅勤務は長時間通勤からの解放を実現し、仕事と家庭を両立させる好ましい働き方だとする肯定的な見方がある一方、職場での緊密なコミュニケーションや新人・若手のスキル向上を困難にするとの否定的な見方もあり、議論は様々だ。新型コロナによる制約はしばらく続く可能性が高く、終息後の望ましい働き方を考える上でも、エビデンスに基づく対応が必要だ。

 在宅勤務の実証研究は世界的に急増し、在宅勤務が可能な仕事や、労働者像はほぼ明らかになってきた。米国を調べた米シカゴ大学経営大学院のジョナサン・ディンゲル氏とブレント・ニーマン氏の共著論文*1をはじめ日本を含む他国の研究も結果はほぼ同じだ。大企業の高スキル・高賃金のホワイトカラーが多い。したがって、在宅勤務の増加は格差拡大につながる傾向がある。

自宅と職場の生産性格差

 ホワイトカラーの生産性の計測が技術的に困難なこともあって、在宅勤務の生産性についての実証研究は内外を問わず限られている。筆者は労働者や企業に対する調査を通じ*2、自宅での仕事の生産性が職場で働いていたときに比べてどの程度かを数字で尋ねた。

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