仕事の環境が変わりつつある今、マネジャーは今までの階層的な権力構造のみに頼ることはできない。ハイブリッドワーク時代は、「関わる力」がリーダーシップの鍵だ。

英レディング大学ヘンリー経営大学院経営実践・起業家精神准教授

英レディング大学ヘンリー経営大学院組織行動学講師

伝統的に、ヒエラルキー(階層構造)は組織内の異なる役割に組み込まれた権力構造を明確にするのに役立ってきた。対面環境ではオフィス内の位置、机や椅子の質、名札・バッジの着用など地位やヒエラルキーを示す様々な視覚的な情報がある。しかしバーチャルな環境にはそのような情報はない。マネジャーは従業員に影響を与え管理するため、新たな権力の源に頼らなければならない。
ズームやマイクロソフト・チームズのようなビデオアプリケーションの活用に関する研究が進んでいるが、スラック、(英国の)ハドルなど文書ベースのプラットフォームはあまり注目されていない。これら協働プラットフォームの市場規模は2025年までに507億ドルに達するとみられ、社内でプラットフォーム上のやり取りが増えるだろう。
我々は、バーチャルな環境でマネジャーと従業員の関係がどう維持されるか実証的に研究した。米フォーチュン誌の「グローバル500」に含まれる多国籍企業のマネジャー64人にインタビューし、約1200人のGoogle+ for Business上のやり取りを分析した。その結果、バーチャル環境の管理職と従業員の関係維持には、「関わるニーズ」が重要だと分かった。関わるニーズとはマネジャーと従業員の社会的な交流の原動力で、情報、タスクごとの資源、承認、リーダーシップなど多くの要素がある。成功したいマネジャーは、ヒエラルキー上の権力だけでなく、ハイブリッドワークにおける「関わる力」の重要性を認識する必要がある。
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