変化の激しい市場、経済環境や技術の進歩を前に、複数の改革プロジェクトを同時進行しなければいけない。組織変革に取り組むリーダーが失敗しないための条件とは何か。
INSEAD(欧州経営大学院)ソルベイ技術革新教授、戦略教授

複数の変革プロジェクトを並行して進めるリーダーは、リスクや対立をどう避けるべきか。INSEAD(欧州経営大学院)キー・グエン・フー氏、独ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ルーベン・カニッツ氏とマーティン・ホー氏、アイルランド国立大学ジュリア・バックマン氏が、共著でその対処法を提示する。
ダイナミックな市場、グローバルな危機、そして技術の進歩に対応するため、組織は迅速な変革を求められ複数の変革プロジェクトを同時に並行して進めなければならない。だが変革プロジェクトのリーダーは、衝突・対立がどう起こり、対立のリスクをどう回避すべきかをほとんど理解していない。
プロジェクトの相互関係をマネジメントしなければ、3つの理由で全体のパフォーマンスが低下する。1つ目は、個々の取り組みの優先順位が不明確になり、必要な資源が不足すること。2つ目はインセンティブ(誘因)が正しく設計できなくなること。部門を超えて協力すればより利益を生み出せるのに、プロジェクトリーダーが自身のKPI(重要業績評価指標)の達成だけ気にして、部門間の共同作業をできなくする。最後が、リーダーが自分自身が取り組む変革プロジェクトと、組織の他の部門のプロジェクトとの関係を認識せず、リソース(経営資源)の割り当てや実行のタイミングを誤ることだ。これが引き起こすトラブルは全プロジェクトをむしばみ、会社全体のパフォーマンスを低下させる。

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