米国の組織で日本人、中国人、韓国人など東アジア系がリーダーになれないのはなぜか。最新の研究によれば、それは英語力などではなく、同質性を好む「ホモフィリー」の傾向が強いためだという。

ジャクソン・ルー[Jackson Lu]
米ウィリアムズ大学を首席で卒業。2010年、早稲田大学国際教養学部に半年留学、その後米コロンビア大学経営大学院で組織行動論の博士号(Ph.D.)を取得、18年から現職。文化とグローバリゼーションが専門。19年、米Poets and Quants誌「40歳以下のベストビジネススクール教授」に選出された。

 中国出身の経営学者、ジャクソン・ルー米マサチューセッツ工科大学(MIT)准教授は、日本人、中国人、韓国人といった東アジア系は、インド人のような南アジア系に比べ米国の組織でリーダーになりづらい理由を研究した。東アジア系の人々は他の人種よりも強く同質性を好む傾向のためリーダーになりづらいという。

 英語に「類は友を呼ぶ」(Birds of a feather flock together)ということわざがある。社会学研究でよく使われる概念だ。人には住んでいる場所を問わず、自分と同類だと感じる人間同士で集まる傾向があるのだ。よって、エスニックホモフィリー(同じ民族同士でつながりたがる傾向)は、あらゆる人種で観察される。

 つまり、人は見た目が似ている人を見かけると、ひょっとしたら自分に対して親切にしてくれるのではないかと無意識に反応して、その人に近づく傾向があるということだ。

 白人は白人同士で親しくなりやすい傾向があり、黒人はもちろん、南アジア出身の人も南アジア系の人と友達になりやすい。だが、東アジア系の人は中でもその傾向が一番強いということが、筆者の研究で確かめられた。

 読者が、米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のような米国のビジネススクールに入学し、初登校したとしよう。あなたは一人も知り合いがいない。東アジア系の学生を見かけたら、恐らく、見た目が似たあの人なら私の考え方などを理解してくれそう、友達になろう、と無意識に行動するに違いない。

 例えば特にビジネススクールなどの学校では、東アジア系の人が好んで集まっている様子が目に付く。学校以外でも、例えば米国や英国でも中華街のような地域がたくさんある。一方、インドタウンのような地域はあまり見られない。

 英語能力のレベルや出生地を統計的にコントロールして、2世である場合などの影響を勘案して分析しても、つまり米国で生まれ育った東アジア系の人であったとしても、やはりエスニックホモフィリーが高いという結果が出た。

 そして、東アジア文化圏の集団主義も(破壊的なイノベーションが起こしづらい)理由の一つだと思う。例えば日本では統計的に99%の人は同じ民族だ。同様に韓国でも99%の人は同じような顔をしており、中国も92%は漢民族だ。一方、南アジア、例えばインドとかパキスタンは、非常に多様な国である。

 インドには公用語が22もある。子供のころからそうした環境で育った人は、自分と見た目や習慣、育った環境の違う人と接することに慣れている。自分と違う人とつながる練習を積んでいる。だから、米国のような多様性の高い環境に移っても「よそ者」とのコミュニケーションに全く支障がないというわけだ。

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