新型コロナウイルス禍で勤務形態を見直す企業が増える中、週4日働き3日休む「週4日勤務制」が注目を集める。社員の家庭生活や幸福度にはもちろん、企業側にも生産性の向上といったメリットがあるという。

(写真=PIXTA)
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ベンジャミン・レイカー[Benjamin Laker]
英レディング大学ヘンリー経営大学院教授
リーダーシップ戦略が専門。米経済誌フォーブス、米誌ハーバード・ビジネス・レビュー、米誌MITスローンマネジメントレビューなどに数多く寄稿。『Too Proud to Lead: How Hubris Can Destroy Effective Leadership and What to Do About It』(ブルームズベリー、2021)の共著者。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、人々の労働生活に大きな影響を与えてきた。最近では、「週4日勤務制」導入といった取り組みも珍しいものではなくなっており、より柔軟な勤務形態への移行が進んでいる。

 こうした新しい勤務形態の下では、社員が減給されることなく、週4日間働いて3日休むことができるという形が一般的であることは、特筆に値するだろう。

 勤務日数を週5日から週4日に減らすことで生産性が向上するという考えは、以前から提唱されており、実際にこれを裏付けるような強い根拠もある。

 例えば、2021年にアイスランドで行われた研究では、減給を伴わない週4日勤務制が労働者の幸福度や生産性を向上させることが分かった。

 21年の英スコットランド議会選挙では、同地域の行政府(地方政府)のスタージョン首相が週4日勤務制を導入する企業への給付金に1000万ポンド(約16億円)を拠出するという公約を掲げ、現在、試験運用中だ。

 アイルランドも今年、減給なしの週4日勤務制を半年間にわたり実験的に導入する。スペインは新型コロナ禍からの経済回復施策の一環として、3年間にも及ぶ週32時間勤務制の試験導入に踏み切った。

 このように世界各国の企業も、休日を週に1日増やすことで得られるメリットに、高い関心を持っている。

 19年8月、米マイクロソフトの日本法人が週4日勤務制を試験導入した際、生産性が40%向上するという結果が得られたことをきっかけに、多くの企業が後に続いて導入に動いたことがあった。

 最近では、キヤノンの医療機器事業関連の英国法人が、減給なしの週4日勤務制を試験導入した。米国でもクラウドファンディング(CF)大手のキックスターターやフィンテックスタートアップのボルトといった多くの企業が、同様の勤務形態を試験運用中である。英ユニリーバも、ニュージーランドで試行している。さらに、このように1週間の勤務日数を減らした企業には、求人への応募が殺到するような現象も見られている。

 英アトム銀行では、同社が抱える430人の社員を対象に週4日勤務制を導入すると発表した直後、求人への応募者の数が6倍に跳ね上がったという。

 週4日勤務制の導入によって、アトム銀行の社員は月曜か金曜のいずれかを休んで週4日勤務することになり、1週間当たりの勤務時間も従来の37.5時間から34時間に減少するという。

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