この記事は日経ビジネス電子版に『人手不足の救世主? 米国で注目集める「ブーメラン社員」』(3月25日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月18日号に掲載するものです。

人材獲得競争が激しくなる一方の労働市場において、ブーメラン社員(出戻り社員)は貴重な戦力になり得る。人材不足には多くの企業が悩んでいるが、「元社員」という人材プールは、ブルーオーシャンかもしれない。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
ベンジャミン・レイカー[Benjamin Laker]
英レディング大学 ヘンリー経営大学院教授
リーダーシップ戦略が専門。米経済誌フォーブス、米誌ハーバード・ビジネス・レビュー、米誌MITスローンマネジメントレビューなどに数多く寄稿。『Too Proud to Lead: How Hubris Can Destroy Effective Leadership and What to Do About It』(ブルームズベリー、2021)の共著者。

 人材不足に多くの企業が悩んでいるが、おそらく労働市場において、「元社員」という人材プールは依然として未開拓である。実際、近年の労働市場では、一度企業を去って戻る出戻り社員、すなわち「ブーメラン社員」の数が、過去数年に比べてはるかに多くなっている。

 人材が流出することは会社にとって痛手であるが、その人材が再び企業に戻ってくることは、会社にとっても社員にとっても良い側面があるのである。

 ブーメラン社員は、既に会社の内情や企業風土、求められる成果を当然のように理解している。そのため、人材獲得競争が激化する労働市場においては、以下の3つの理由から、ブーメラン社員を会社に受け入れることにはメリットがある。

競争が激しい労働市場の「ブルーオーシャン」に
競争が激しい労働市場の「ブルーオーシャン」に
●「ブーメラン社員」のメリット (出所: 本文を基に編集部作成)

1.職場になじむスピード

 ブーメラン社員は、新入社員よりはるかに速く成長する傾向がある。もし、ブーメラン社員が同じ部署に復帰する場合、退職後に変わった勤務体制について学ぶ必要はあるものの、自分の役割がどのようなものであるかは、じゅうぶんに理解できている。

 また、以前とは別の部署に採用された場合でも、会社に関する知識を既に持っているため、新入社員よりも短期間で学習し、最初からスムーズに仕事を進めることができる。

 どちらの場合でも、ブーメラン社員は企業文化や組織の動き方を根本的に理解していることから、これらを一から学ばなければならない新入社員よりも採用するメリットがある。出戻り社員と新入社員の差は、とりわけ複雑なシステムや部署、組織体制になっている大企業で顕著に表れる。

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