この記事は日経ビジネス電子版に『「パーパス経営」は、経営学の根幹となる概念だった』(1月14日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月14日号に掲載するものです。
従業員のウエルビーイング(幸福感)、地球環境への配慮など、サステナブル(持続可能な)経営の重要性がかつてなく叫ばれている。実は「サステナブル経営」こそが経営学の出発点であったことが、最新の研究で分かった。
ニュージーランド・ウェリントンビクトリア大学経営学部教授

ニュージーランド・ウェリントンビクトリア大学経営学部准教授

世界的なトレンドになっているパーパス(存在意義)経営、企業の社会的責任(CSR)などといった「サステナブル(持続可能な)経営」。その潮流は、果たして従来の経営学の基本から逸脱したものなのだろうか。本稿の筆者らは、サステナブル経営は近年のトレンドに限ったものではなく、経営学の根源的な在り方だと主張している。経営管理の始祖とされる米国の経営学者フレデリック・テイラーに先行して、米法律家ルイス・ブランダイスが「科学的管理法」を提唱していたことにフォーカスを当て、経営学の根底にある考え方を明らかにする。
経営学の本来の目的は経済効率性と金銭的なリターンを追求することであり、それ以外の目的の追求は最近になってのトレンドというのが定説だ。しかしこのような定説は、経営学の一側面でしかない。経営学の根底には、組織のパーパスや幅広いステークホルダーとの関係性の考慮といった、近年トレンドとなってきている考え方が密接に関連している。つまり、近年のCSRへの働きかけは経営学の根源的な考え方から発散しているのではなく、むしろ本来の在り方に収束していると言える。
経営学について学んだことのある人は、この分野の創設者が「効率性」に対して強いこだわりを持った(米国の)フレデリック・テイラーであることをご存じだろう。
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