差別を受けた側がその事実を訴えた時、訴えられた側が「逆差別」や「言論の自由の侵害」を訴えることがある。マネジャーは、こうした主張に慎重に対応し、被差別者の働きやすい環境整備を優先すべきだ。

ミゲル・M・ウンズエタ[Miguel M. Unzueta]
米カリフォルニア大学 ロサンゼルス校教授
米テキサス大学オースティン校卒業後、2006年、米スタンフォード大学経営大学院で組織行動の博士号(Ph.D.)を取得。マネジメントと組織研究を専攻とする。交渉や意思決定など幅広い経営者研修を実施。
イブワマ・N・オニアドール[Ivuoma N. Onyeador]
米ノースウエスタン大学 ケロッグ経営大学院助教授
米エール大学で心理学を学び、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で社会心理学の博士号(Ph.D.)を取得。その後、エール大学心理学部でポスドク。米国社会における格差や差別など、社会でのバイアスを研究対象にしている。
フェリックス・ダンボルド[Felix Danbold]
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン経営大学院助教授
2018年に米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で博士号を取得。組織とイノベーショングループの助教授。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院、米ニューヨーク大学経営大学院博士研究員、同客員助教授などを経て現職。

 読者は、自身を多様性のあるチームを率いるマネジャーだと想像してほしい。ある日、自分が職場で歓迎されていないと感じている肌の黒い従業員がいると聞き、あなたは困惑する。2人の肌が白い社員が人種差別的な衣装を着て参加したパーティーの写真をソーシャルメディアに投稿し、他の同僚と冗談を言い合っていたという報告を受けたのだ。あなたは懐深く、かつ迅速なサポートをするリーダーでありたいと考え、不適切な行為をした2人の従業員を個別に自室に呼ぶことにした。

 1人目の従業員(マイケルと呼ぶことにする)は、自身の肌が白いがゆえに肌が黒い従業員から不当に狙われた、つまりこれは「逆人種差別」の典型的な事例であると訴え、自己防御の対応を見せた。

 2人目の従業員(ジョン)もまた、別の方法で自分を被害者に見立てようとする。彼は「言論の自由が脅かされている」と主張するのだ。職場で言っていいこと・悪いことをコントロールするのは、彼の基本的な権利を脅かすと。あなたはこうした議論をどう思うか。両者、あるいはどちらか1人を信じる気になれるだろうか。チームでこの状況にどう対処するか。

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