今回は、この1~2年で多くの企業が掲げている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に注目する。デジタル化と銘打てば、自社が変革していくかのように誤解されがちなDXを、顧客起点で3つのステップに分けて解説する。後半では、デジタル時代ならではのDXを実現している、ミスミ「meviy」における顧客起点での改革について対談を通して掘り下げる。

<span class="fontBold"><span class="fontSizeL">西口一希氏</span><br />M-Force 共同創業者 / Strategy Partners 代表</span><br />P&Gで「パンパース」「パンテーン」などのブランド事業を手掛け、2006年からはロート製薬でスキンケアブランド「肌ラボ」を担当し、売り上げを8倍に伸ばした。15年からはロクシタンジャポンの社長として2年で最高収益の実現に貢献。スタートアップのSmartNewsでは日本と米国のマーケティング責任者として時価総額1000億円を超える成長に重要な役割を果たした。近年は経営およびマーケティングのコンサルティング活動と投資活動に従事。<br />(写真=北山 宏一)
西口一希氏
M-Force 共同創業者 / Strategy Partners 代表

P&Gで「パンパース」「パンテーン」などのブランド事業を手掛け、2006年からはロート製薬でスキンケアブランド「肌ラボ」を担当し、売り上げを8倍に伸ばした。15年からはロクシタンジャポンの社長として2年で最高収益の実現に貢献。スタートアップのSmartNewsでは日本と米国のマーケティング責任者として時価総額1000億円を超える成長に重要な役割を果たした。近年は経営およびマーケティングのコンサルティング活動と投資活動に従事。
(写真=北山 宏一)


CASE 7

Netflixの躍進
段階を経たDXの実践

 今や誰もが知る存在となったNetflix。「世界をエンターテインする」とのミッションの下、現在では映像作品の配信サービスだけでなく、オリジナル作品の制作に注力し、その投資額がしばしば話題にもなっている。

 同社の変遷をひもとくと、「顧客に対してどのような価値を提供するのか」という観点で、段階的にサービスを変革してきたことが読み取れる。

 1997年の創業時、同社は郵送によるDVDレンタル事業を主軸としていた。当時の主流だった店舗型のレンタル事業に対し、郵送は利便性が高く、急成長。その中で99年、当時としては画期的だった、月額15ドルで制限なくDVDを借りられるサブスクリプションモデルに一本化する。並行して顧客管理や在庫管理、物流管理をネット上で行い、データ分析による効率化とコスト圧縮を強力に推進する。これが、業務をデジタル化する第1段階のDXである。

 2000年代は競合の参入も相次いだが、07年にストリーミングサービスを無料で追加し、「オンラインで手軽に映像作品を楽しむ」という生活者の新しい習慣を広げていく。続いてオリジナル作品の制作を開始し、海外市場へも進出。作品こそが競争優位だと判断し、目先の利益よりも作品への投資による会員増を優先してさらに成長していった。

 13年、米国でのストリーミングの契約者が2700万人を超えた頃、初のオリジナルドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を配信。1年で契約者数を3割以上増やした。ストリーミング配信だからこそ、顧客の検索行動や、どのシーンを繰り返し見たか、監督や俳優の好みも細かく分かる。これらのビッグデータを活用した独自の作品群は大きくヒット。この一連が、第2段階のDXだ。

 そして17年から、視聴者の選択や反応によってストーリーが分岐する「インタラクティブドラマ」の制作に着手している。これはまさに、デジタルありきのエンターテインメントであり、顧客への新たな価値提供にほかならない。直近ではビデオゲーム分野への進出も発表した。これらは、第3段階のDXだと読み解ける。

続きを読む 2/4 デジタルありきの価値を創出

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