2019年、ノジマは不正融資問題で経営が傾いていたスルガ銀行の筆頭株主になった。未知の分野への挑戦だったが、経営再建方針や人事案で対立し「4度目の失敗」に。グループ傘下の従業員を幸せにしたいという気持ちがその原動力となっていた。

<span class="fontBold">野島廣司[のじま・ひろし]氏</span><br>1951年神奈川県横浜市生まれ。73年に中央大学商学部を卒業し、野島電気商会(現・ノジマ)に入社。当時社員数2人だった会社を立て直し、連結売上高5000億円超の企業に成長させた。94年から社長を務め、2006年に退任したが翌年から社長に復帰した。国内外881店(フランチャイズチェーン含む)を展開している。70歳。(写真=北山 宏一)
野島廣司[のじま・ひろし]氏
1951年神奈川県横浜市生まれ。73年に中央大学商学部を卒業し、野島電気商会(現・ノジマ)に入社。当時社員数2人だった会社を立て直し、連結売上高5000億円超の企業に成長させた。94年から社長を務め、2006年に退任したが翌年から社長に復帰した。国内外881店(フランチャイズチェーン含む)を展開している。70歳。(写真=北山 宏一)

 過去3度の大きな失敗についてお話ししてきました。母と弟に経営の実権を奪われるに至ったこと、1990年代後半と2000年代後半のそれぞれで子会社を多く設立して大きな損失を出したことです。

 そして僕は今、4度目の大きな失敗をしたと感じています。スルガ銀行との資本・業務提携です。僕は10年以降も携帯ショップ運営のITX、ネット接続事業のニフティを買収し、未開拓の分野に進出してきました。スルガ銀への資本参加もその延長でした。

 まず18年からシェアハウスへの不正融資問題で経営が傾いていたスルガ銀の株を買い集め、5%弱を取得しました。19年5月には金融サービスで協業するために業務提携し、その年の秋には創業家・ファミリー企業からスルガ銀株を140億円で買い取りました。持ち株比率(議決権ベース)は約18.5%に上り、筆頭株主になりました。

「解放軍になるんだ」

 僕は、企業を買収した際などに社内にはこう言ってきました。「我々は占領軍ではない。解放軍になるんだ」と。買収先の社員に「ノジマグループの社員として働いたほうが幸せだ」と思ってもらいたいのです。実際に再出発して業績が上がり、買収先の社員が感謝してくれると本当にうれしくなります。

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この記事はシリーズ「ノジマ・野島廣司社長の「不屈の路程」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。