失敗の可能性が高くても、社員が自ら考えて提案する企画には全てゴーサインを出す。失敗を乗り越えてこそ人も組織も成長する。顧客に喜ばれるにはそんな試練も必要。そう考えるのは、肉親との経営方針を巡る対立からはい上がった原体験があったからだ。
![<span class="fontBold">野島廣司[のじま・ひろし]氏</span><br>1951年神奈川県横浜市生まれ。73年に中央大学商学部を卒業し、野島電気商会(現・ノジマ)に入社。当時社員数2人だった会社を立て直し、連結売上高5000億円超の企業に成長させた。94年から社長を務め、2006年に退任したが翌年から社長に復帰した。国内外881店(フランチャイズチェーン含む)を展開している。(写真=北山 宏一)](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00139/062100001/pf.jpg?__scale=w:400,h:528&_sh=02d07c0009)
1951年神奈川県横浜市生まれ。73年に中央大学商学部を卒業し、野島電気商会(現・ノジマ)に入社。当時社員数2人だった会社を立て直し、連結売上高5000億円超の企業に成長させた。94年から社長を務め、2006年に退任したが翌年から社長に復帰した。国内外881店(フランチャイズチェーン含む)を展開している。(写真=北山 宏一)
僕は、社員に失敗することを勧めています。失敗こそが事業の発展に欠かせないものであり、それを乗り越えてこそ社員も組織も成長できるのです。
なぜそう断言できるのか。それは、僕自身、失敗を重ねたことで成長してきたからです。家業の野島電気商会(現・ノジマ)に入社したときに掲げた「年商1000億円企業にする」という目標を達成できたのも、何度も悔しい思いをして眠れない夜を過ごしてきたからです。
失敗を回避しようとするのは、人間の本能かもしれません。誰だって苦しい立場になるのは避けたいでしょう。そして人は失敗すると、隠そうとする気持ちになりやすい。でも、そこから逃げると、むしろ傷は広がります。失敗について知らん顔しないよう、僕は失敗をオープンにしています。会社としても、です。
今でこそ、それを経営哲学にしていますが、以前からそう考えていたわけではありません。「どうすれば失敗しないで済むか」を常に考える人間でした。そこからこの境地にたどり着くまでの、忘れられない原体験があります。
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