この記事は日経ビジネス電子版に掲載した『地方創生に身を焦がす』を加筆・再編集して雑誌『日経ビジネス』に掲載するものです。

企業規模が次第に大きくなり、フラットな組織運営に支障が出始めた。ふるさと納税に大手企業が相次ぎ参入する中、ITサービスを手掛けるチェンジのグループ入りを決める。代表を離れても、地方創生の実現に向けた奔走は続く。

須永珠代 [すなが・たまよ]氏
トラストバンク会長兼ファウンダー
群馬県伊勢崎市生まれ。2012年4月にトラストバンクを設立し、同年9月、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を開設。「自立した持続可能な地域をつくる」との目標を実現するために様々な新規事業を手掛ける。観光庁の検討会の委員なども務めた。20年1月にトラストバンクの会長兼ファウンダーに就任した。(写真=的野 弘路)

 ふるさと納税制度のそもそもの目的は、その町で育った人が育ててもらった自治体に恩返しできるというものです。大人になって都市部に出ていき、寄付をする形で恩返しができる。

 努力した自治体も報われる、いい制度だと思います。しかし、一部の自治体が暴走し、地域の産業の育成に使われるはずの日本の税金が、海外企業や都市部に流れるケースが出てきました。

 長期的な視点に立てば、これがいかに不毛であるかは一目瞭然。日本の税金の使い道として本当に正しい姿かどうか、誰でも分かるはずです。少なくとも私は納得がいきませんでした。

 私は自社で作った掲載基準を頑として守り続けました。競合他社に流れていくのは分かっていましたが、それでも構いませんでした。大手が次々と参入してくる中で、これを守り続けるのは本当に大変でした。

 地方自治体の財政が逼迫しているのは分かります。ほとんどすべての自治体が頭を抱えていると言ってもいい。でも、目の前のお金に飛びつくのはこれまでやってきたことと何ら変わりません。未来を見据えてどのような産業をつくっていくのか。これを真剣に考えていかないことには、国と地方の依存体質を変えていくことはできません。

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