日々の経営や仕事の中でなされる意思決定。その中には、後から振り返ったときに大きなターニングポイントになっていたものもある。決断を迫られたとき、企業は何を考え、どのように意思決定していったのか。その背景にあったものは何だったのか。過去の事例から検証する。(写真:Shutterstock)
シリーズ
検証 そのとき企業は

12回
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スルガ銀行、勤め人を陥れた不正融資(4)変われる地銀が生き残る
株主総会での責任追及などを経て、不正融資の被害者の一部はスルガ銀行と和解した。だが、金融緩和による超低金利が続く中で多くの金融機関が血眼になって融資先を探している。金融単独の発展はもはや望めない時代、地方銀行には旧習を捨…
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スルガ銀行、勤め人を陥れた不正融資(3)大手地銀に挟まれて…
静岡銀行や横浜銀行など有力な地方銀行と競う営業地域に立つスルガ銀行。生き残りをかけて活路を求めた個人融資は、やがて社員へ苛烈なノルマを課すことになった。数字絶対の刹那的な社風が、収益不動産ローンの不正融資に手を染める土壌…
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スルガ銀行、勤め人を陥れた不正融資(2)被害者「完全救済」遠く
スルガ銀行との第2次調停でシェアハウス不正融資の被害者285人が新たに救済された。まだ約700人の債務者が残っているが、スルガ銀は「8月末で対応を終了する」と発表。借り手に責任を転嫁する不正融資の手口が後遺症のように債務…
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スルガ銀行、勤め人を陥れた不正融資(1)内部告発はかき消された
賃料収入を保証するシェアハウスに投資し莫大な借金を負う被害者が続出した「かぼちゃの馬車」騒動。社会問題となった金融事件では、預金通帳の改ざんや空室率などを記した家賃収入表の偽装があった。関与していたのはスルガ銀行。“地銀…
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新日鉄×住金、世紀の大合併(4)吹き続く逆風
世界一の鉄鋼メーカーを目指して2012年10月に発足した「新日鉄住金」。だが合併後の姿は思い描いたものとは程遠く、今や合併前と同等の力があるかも心もとない。戦後の日本を代表する大企業は、これからどこへ向かうのだろうか。
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新日鉄×住金、世紀の大合併(3)八幡・富士合併の裏に住金あり
明治以降の鉄鋼業は、常に国家とともにあった。先の大戦後は資金が重点投入され、1970年には八幡製鉄と富士製鉄の合併で新日本製鉄が誕生。合併反対論が渦巻くなか、賛成を表明して流れを変えたのは住友金属工業だった。
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新日鉄×住金、世紀の大合併(2)世論を味方に、鉄壁の公取委を正面突破
官公庁を含め何の根回しもなく突然発表された新日本製鉄と住友金属工業の合併構想。日本の産業再編を遅らせる障壁とされた公正取引委員会を突破するための奇襲だった。その判断は、公取委の改革を進める当時の民主党政権の後押しも受けて…
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新日鉄×住金、世紀の大合併(1)「根回しせず、発表しましょう」
新日本製鉄と住友金属工業が合併し、2012年に新日鉄住金(現日本製鉄)が誕生した。新興国の台頭や円高などの6重苦で窮地に陥っていた日本の産業に風穴を開ける大型合併。東日本大震災を挟んだ国難のさなか、戦後の日本経済を引っ張…
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シャープ、鴻海傘下入り(4)見えぬ成長の道、聞こえる解体の足音
鴻海(ホンハイ)精密工業は2016年8月にシャープへの3888億円の出資を完了。「信賞必罰」を掲げる戴正呉社長の下、新しい経営体制のシャープはV字回復を果たした。ところが、その後は足踏みが続く。「どうなってしまうのだろう…
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シャープ、鴻海傘下入り(3)ブラウン管の無念は液晶で晴らす
「すべて液晶テレビに置き換える」。荒唐無稽に見えた発言は次第に現実となっていった。歴代社長が抱いたテレビのトップメーカーになる夢がついに結実したかに見えた。だが、その夢が経営の選択肢を狭め、巨大なリスクを抱える賭けに追い…
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シャープ、鴻海傘下入り(2)本当のトップは誰なんだ
自力再建の最後のチャンスを見逃し、2016年に鴻海傘下入りが決まったシャープ。テレビの販売が落ち込んで業績が悪化した12年から経営の混乱は始まっていた。「プリンス」と呼ばれた若き社長の早期退任。その後を継げる人材も見当た…
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シャープ、鴻海傘下入り(1)逃した最後の自力再建のチャンス
世界最大の製造受託企業、鴻海精密工業の傘下に入ったシャープ。官民ファンド主導の電機業界再編か、鴻海傘下入りか。もはや自ら選ぶ余地はなかった。独立企業としての最後の社長も経営課題に手を打てなかったことが決定打となった。
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