生産財・消費財のいずれの市場でも、企業の多くが複数の流通チャネルを用いて製品を販売している。生産財ではデュアル・チャネルという形態がよく見られ、消費財ではオムニチャネルが注目を集める。企業は複数のチャネルをいかに活用し、効率的な販売に結び付ければ良いのだろうか。

<span class="fontBold">高田 英亮 教授[Hidesuke Takata]</span><br> 1981年生まれ。2004年慶應義塾大学商学部卒業、06年同大学大学院商学研究科修士課程修了、09年同博士課程単位取得退学。慶應義塾大学商学部助教、専任講師、准教授を経て、20年から現職。博士(商学)。(写真=的野 弘路)
高田 英亮 教授[Hidesuke Takata]
1981年生まれ。2004年慶應義塾大学商学部卒業、06年同大学大学院商学研究科修士課程修了、09年同博士課程単位取得退学。慶應義塾大学商学部助教、専任講師、准教授を経て、20年から現職。博士(商学)。(写真=的野 弘路)

 この連載の最終回となる今回は、企業による複数のチャネル利用について取り上げる。生産財・消費財双方の市場において、現在、多くの企業が複数のチャネルを用いている。生産財市場では、デュアル・チャネルという形態がよく見られる。これは「製造業者が直接チャネルと間接チャネルの双方を用いて、製品を販売すること」である。直接チャネルの代表例は内部の販売員(営業部隊)であり、間接チャネルの代表例は外部の流通業者(特に卸売業者)である。

 消費財市場では、現在、オムニチャネルという形態が注目を集めている。これは「小売業者や製造業者などが実店舗やEC(電子商取引)、モバイル・アプリ、SNS(交流サイト)といったあらゆるチャネルを用いて、消費者にシームレスな買い物経験を提供すること」である。チャネルとして、販売チャネルに加えてコミュニケーション・チャネルを含む点が特徴的である。

 今回は、これら2つのチャネル形態に関する重要な研究成果を紹介したい。

 ある製品の販売において、売上高の90%以上を直接チャネルか間接チャネルが占めればそのどちらか一方が用いられているとし、そうでなければデュアル・チャネルが用いられているとする。この90%ルールを採用した場合、日本の生産財製造業者に対する筆者の調査(n=451)によれば、製品の36%(n=162)が直接チャネル、17%(n=75)が間接チャネル、47%(n=214)がデュアル・チャネルを用いて販売されている。同様に95%、100%ルールを採用した場合、このデュアル・チャネルの割合は61%(n=274)、72%(n=326)とさらに高くなる。このように、生産財市場では、デュアル・チャネルが多く用いられている。

 では、なぜ生産財の多くがデュアル・チャネルを用いて販売されるのか。以下では、この問題に関する代表的な4つの仮説を説明する。

続きを読む 2/3 デュアル・チャネル選択の理由

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