全地球測位システム(GPS)のデータなどの位置情報をマーケティングに生かす動きが加速している。これまでであれば測定が難しかった人の流れなどが把握でき、より詳細に消費者の動きを分析できるようになった。ネットでの販売が伸びる中、実店舗がさらに発展していくにはこうしたデータの活用が欠かせない。

<span class="fontBold">清水 聰 教授[Akira Shimizu]</span><br>1963年東京生まれ。86年慶應義塾大学商学部卒。同大学大学院修士課程、博士課程を経て、91年明治学院大学経済学部専任講師、助教授。2000年同大学経済学部教授。09年慶應義塾大学商学部教授。14~15年米ピッツバーグ大学Katz Graduate School of Business訪問研究員。博士(商学)。近著に『New Consumer Behavior Theories from Japan』(単著、Springer、2021)がある。(写真=的野 弘路)
清水 聰 教授[Akira Shimizu]
1963年東京生まれ。86年慶應義塾大学商学部卒。同大学大学院修士課程、博士課程を経て、91年明治学院大学経済学部専任講師、助教授。2000年同大学経済学部教授。09年慶應義塾大学商学部教授。14~15年米ピッツバーグ大学Katz Graduate School of Business訪問研究員。博士(商学)。近著に『New Consumer Behavior Theories from Japan』(単著、Springer、2021)がある。(写真=的野 弘路)

 現在、日本の小売業はオンラインでの売り上げが大きく伸びている一方、リアルの店舗はどの業態も苦戦している。そんな中、消費者の位置情報を利用し、店舗立地や店内の商品配置の最適化を目指す動きが増えてきた。

 従来、小売店舗の立地については、小売吸引力という概念が用いられていた。これは、消費者が選択し得る複数の小売店の中で、当該小売店舗の魅力は相対的にどの程度なのかを測定するもので、小売店の魅力として売り場面積を、小売店の魅力を減らす要因(これを抵抗度と呼ぶ)としてその店までの距離を用いて、その小売店の、お客を呼び込む吸引力を測定していた。消費者は多少距離があっても大型店に行き、小型店には近所の客が訪れている現実を見ても、この考え方はシンプルで非常に理にかなっている。

 店内の回遊については、消費者の店内での動線長を長くするための方法が研究されてきた。特にスーパーマーケットでは、店内の滞留時間が長くなると、来店前には計画していなかった商品を購入する非計画購買が増え、来店客の売り上げが増えるからだ。研究成果に基づき、来店客の回遊をコントロールする店内の仕組みが作られてきた。

 これらの研究は一定の効果を上げているが、立地の分析は、地域住民が対象で、オフィス街や繁華街など、住民は少なくても来訪者が多い場合は利用が難しかった。店内の回遊についても、調査員が来店者の後を歩いて測定する方法が主だったため、調査費の関係から集めるサンプル数は300程度、調査日数も最高で1週間程度にとどまり、一般化が困難だった。

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