水戸学と明治維新

守屋(以下、守):いわゆる「親殺し」ですね。ところが儒教文化の影響を受けている日本では、親殺しはとてもやりにくい。マイケル・サンデル教授*2の有名なトロッコ問題で例えるなら、「親と子ども5人のどちらか選ぶなら、子どもの方を全員ひいてしまえ」となります。

<span class="fontBold">あなたは親と子ども5人のどちらを犠牲にしますか?</span>
あなたは親と子ども5人のどちらを犠牲にしますか?

 なぜなら親さえ残れば子どもはまたつくれるから、というのが儒教のロジックなんです。こういった文化の影響を受けていると、なかなか「既存事業のものを倒してでも、新規事業に注力しよう」とは考えづらいですね……。

 明治維新はそれができたといわれていますが、あれは水戸学の影響がありました。親子関係で例えれば「俺たちの本当の親は天皇だった。徳川は義理の父だった」という感じなのです。だから「幕府は倒してオッケー」と言えた。水戸藩第9代藩主の徳川斉昭は過激な改革主義者です。藩政改革に当たって重用した藤田東湖が「尊王思想」を説き、その著書は維新の志士たちの愛読書となりました。ゆえに明治維新は成ったのです。

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